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小川)看護師としてお仕事をしているなかで、患者さんへの思いで変わった点はありますか?
部長)市民病院で看護師になりたてのころと、いまを比べて、逆にむしろ「もっとやれるかもしれない」という思いが強くなりました。老人医療についてはこの病院に入るまでは知りませんでしたが、寝たきりの患者さんを、自分たち看護師の計画の中で徐々に離床させていくということにやりがいを感じられるようになりました。お年寄りなので、そういった変化はすぐには表れませんが、そこにいたるまでの援助をすることがとても楽しいと感じました。看護師になりたてのころに病棟で経験したことが、ここでとても活かされていると思います。
小川)ますます患者さんの援助をすることが楽しくなったのですね。でも、そういった変化はすぐには表れなかったのですよね。
部長)私が市民病院を辞めたころは、まだナースステーションにモニターはありませんでしたが、復帰した時は当院でもそうした設備がちゃんとありました。モニターを目の前にしたときに、自分はもう心電図も読めないし、無理かもしれないと思いました。市民病院を辞める時に「いつか看護師として復帰したいと思います」と言いましたら、その場にいた先生に「あのね、日本の医療ってそんなにあまくないんだよ。数年後にはかなり進んでいるからね」と言われました。なので、とても一般の病院では復帰は無理かもと思っていた時もありましたが、高齢者医療だったらという思いもありました。それでも病棟に入ったら、分からない器材がたくさんありまして、ついていけるかしらと不安になったときもありましたけどね。また、注射についても、公立の病院と民間の病院では看護師が行う頻度にかなり差があって、市民病院時代にはあまり経験したことがなかったものですから不安でした。その不安が解消するようになると患者さんの援助がとても楽しくなりましたね。
小川)それを克服するために人一倍勉強したり、練習したりしたんですか?
部長)そうですね。それまで自分が経験したことがないことには、とにかく逃げないで向き合おうとしましたね。まず注射はこわかったです。いまでこそ静注は看護師の仕事になりましたけれど、以前は、特に市民病院は全部ドクターがやっていましたから、実際に静脈注射や点滴注射はしたことがありませんでした。ですから、東新潟病院に入って最初はとても怖かったですが、できるだけ率先してやって経験を積むようにしました。その他のことでも同じように、自分が過去してこなかったことは、逆に率先してやらせてもらうようにしていました。
あとは、この病院に入って、それまで見たことのないような大きな褥瘡のある患者さんがけっこういらっしゃることに驚きました。でも、その後、こんな大きな褥瘡でも治るんだ!という経験をこの病院でしたんですね。その当時は、毎日毎日褥瘡の治療ばかり対応していました。一日の大半を褥瘡の治療に充てていて、その他の療養上のお世話をする余裕がありませんでしたので、これでいいのかしらという思いが出てきました。それならばまずは褥瘡を治さなくてはという気持ちに変わっていきました。昔からこの病院に勤務していた看護師の中には反対する人もいたかもしれませんが、なるべく患者さんを起こすようにしようとか、褥瘡を作らないためにどうしたらいいか考え、当時の師長たちの理解も得ることができました。すこし生意気だったかもしれませんが。
小川)それはこちらの病院に入られてどのくらいの期間がたった頃ですか?
部長)1年くらいだと思います。1年くらいで、もう何年もいたような顔をしていたかもしれません(笑)。でも、そのくらいこの病院は馴染みやすい病院だったということだと思います。
小川)新しく入った人を歓迎する雰囲気を持った職場だったということでしょうか。
部長)それは、本当にそうだと思います。すごく雰囲気がよくて、なんでも教えてくれるという環境でした。ですので、現場に馴染みやすく、早い段階からいろいろなことに取り組むことができまして、褥瘡の問題についても早々に考え始めるようになったんです。
小川)今でこそ褥瘡委員会など設置している病院や施設が多いですが、当時はそうではなかったんでしょうか?
部長)そうですね。昔から褥瘡を作るのは看護師の恥という感覚はありましたが、かといって褥瘡を治すためのノウハウのようなものは、医師も看護師も誰も持っていませんでした。褥瘡の処置にかける時間が長くかかって、その間にまた新しい褥瘡の患者さんができてという悪循環になっていました。その時、理学療法士の三好春樹さんの講演を聞いたり、テレビで札幌麻生脳神経外科病院の紙屋克子さんの取組みをみたのがきっかけで、寝たきりの患者さんをつくらないことの大切さを改めて認識したんです。特に札幌麻生脳神経外科病院で、医師から改善が見込めないと診断された患者さんが、寝たきり状態から離脱して、車いすにまで乗れるようになったシーンをみて衝撃を受けました。
小川)それで、寝たきり患者さんを増やさないことで新しい褥瘡をつくらないという取組みに力を入れるようになって、どのくらいで成果は出始めたのでしょうか?
部長)そうですね。実は私はこの病院に入って一年半くらいで病棟師長になりました。民間病院で人材が不足していたためでしょうが。当時も人材不足で、まだ入職して日は浅かったのですが、病棟師長になってしまったと言う訳です。師長になって、病棟全体で褥瘡を作らないようにしましょうということが堂々と言えるようになりましたので成果もそのころから出たと思っています。
小川)当時は、老健や介護保険ができつつある頃でしたでしょうか?
部長)そうですね。うちの病院の老健ができたのは、かなり早かったと思います。まだ介護福祉士はほとんどいませんでしが、それこそ三好春樹さんがいろいろなところで介護職向けの講演などをしていて、高齢者介護ということに目が向き始めた時期でした。あの方は、とてもいい内容のお話しをしてくださるんですが、看護職には厳しい意見をお持ちなんですよね(笑)。でも、確かにおっしゃるとおりで、悔しいけど認めざるを得ないところがあるんです。また、「心が動けば、からだが動く」という言葉を聞いて、本当にそうだなと思い、看護スタッフにも広めたりしました。「風船バレーだったら簡単にできるのよ」とアドバイスしたり。私は高齢者医療については、そんなに勉強したことはありませんでしたが、できるだけそういった講演会や勉強会に参加して、そこから得たものを看護スタッフに伝えるようにしてきました。
小川)なるほど。9年間のブランクから復帰してからは、ジェットコースターのような激動の中にいらっしゃった様子が窺えます。またこれから高齢者社会は加速していきますが、そんな中で、求められる看護師像についてはどのようにお考えでしょうか?
部長)そうですね。いろんなことに傾聴する姿勢を持つというか、相手を思いやるコミュニケーションができないと、看護師の仕事は難しいと思います。
小川)なるほど。あと、加えていまの若い看護師さんに、これは勉強しておいた方がいいよとアドバイスしたいことはおありになりますか?
部長)そうですね。高齢者のターミナルケアについては勉強すべきだと思います。今は核家族化が進んでいて、この病院でも長期入院の高齢者がとても多いです。入院が長ければ長いほど、家族の中の溝が深くなる様子を何度も見てきました。そうした中で、看護師が高齢者の終末期に付き添うことが多くなっています。ですので、今後さらにターミナルケアについての知識はすごく重要になってくると思います。またそれと同時に、その患者さんが人生の最後を病院で迎えたいのか、おうちで迎えたいのかという希望も聞いてあげられるようでもありたいと思います。
小川)高齢者のターミナルケアが一般的に言われるようになってきたのは、最近のことでしょうか?
部長)はい。最近ですよね。核家族化が進んで、家で寝たきりの高齢者を最期まで家族がお世話をするということが現実的に難しくなってきていますから。そういうご家族にとっては、この病院は重要だと思います。ただ、中には本当に最期をご自宅で迎えたかっただろうなという方もいて、そうした希望を叶えてあげられず、とても心残りに思うこともあるんですね。いつか、そうした方々の希望を叶えてあげられるような体制が作れればいいなと思っています。また、これからの看護師はどこへいっても高齢化は進んでいますから、ターミナルケアについては勉強しておくべきだと思います。
小川)2025年までには、要介護の方があと100万人増えると言われていて、将来的にはいまよりもっと看護師さんや介護さんが不足する状況に、どの病院もあたまを悩ませていらっしゃいますね。逆に、現在子育てや家事のために求職中の看護師さん側も、働きたいけど勤務形態や勤務時間帯があわなくて働けないという悩みを持っています。双方が歩み寄るにはどうしたらいいのでしょうか?
部長)理想は病院側がそうした看護師さんに、働ける時間だけ働いてくださればいいですよと言ってあげられればいいのですが。そこまで余裕のある状態ではないんですよね。でも、フルタイムで働ける看護師さんはうちのような高齢者の多い病院には興味がない方が多いんです。また、4大卒の看護師の中には、おむつ交換は看護師の仕事なのかと思う人もいるようです。でも、私はそれは違うと思いますね。看護師は医療だけやってればいいというのではないと思います。おもつを替えるという行為一つをとっても、介護福祉士が替えるのと、看護師が替えるのでは絶対に違う部分があると思います。それ以外にも、療養型の病院の看護師の仕事には重要で、かつ楽しいことがたくさんあると思うのですが、あまりそういった部分は知られていないようです。あまり知る機会もないのでしょうね。逆に、子育て中で夜勤ができないなど時間の制約のある看護師さんは、老人介護施設で働いている方が多いそうです。それもまた、物足りないといった問題もあるようですが。
小川)あとはそういった子育て中の看護師さんはクリニックで就業している方も多いようです。
部長)そうですね。そういった子育て中のブランクをどう埋めていくかということについては、看護協会もいろいろ施策を立てているようですが。
小川)病棟の業務の中には、看護師でなくてもできる業務がありますね。そこを、看護師以外の、例えば看護助手などが行うことによって、看護師さんの負担軽減につながるということは考えていらっしゃいますか?
部長)そうですね。確かに器具の洗浄メッセンジャー業務などを看護師がする必要なないと思います。ただ、どんどん業務を細分化していくのはどうかと思います。看護師の仕事は療養上のお世話と、診療の補助ですが、療養上のお世話の中には、介護福祉士ができる仕事がたくさんあります。だからといって、どんどん介護さんに仕事をふっていったら、看護師はどこで患者さんの観察をすればいいのでしょうか。看護師は患者さんの介護の部分にも介入していかなければいけないと私は考えます。常にベッドサイドから患者さんを観察し、変化があればすばやく医師に伝えるという重要な役割を果たすためにも、看護師は療養上のお世話をきちんとしていく必要があるんです。
小川)これから看護師になろうとする学生に対しては、なにかアドバイスはありますか?
部長)なぜ自分が看護師になろうと思ったのかということを、常に自分に問い、考えるということが大切だと思います。私は、鉄道病院でみた看護師さんたちの優しくて凛とした姿をいつも思い出していました。看護師の原点というような。自分も誰かにとって、そういう存在でいられればいいと思います。
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